2020.12.19:最終作品発表
12月19日(土)、合志市クリエイター塾2020ラストの授業が行われました。
前回の授業から約1カ月。
この間、熊本県でも警戒レベルが上がってしまったため、この日の授業は「完全オンライン」。
講師のみなさんは東京から、塾生のみなさんもご自宅やオフィスから各々受講する形となりました。
さて、塾生のみなさんは1ヶ月の間、10月から行われていたEコマース、マーケティングの授業の実践として、各チームの担当企業様の課題商品を「通販サイト“BASE”」を使い、ショップの開設、SNS広告を発信していただいていました。
「Facebook、インスタグラムで広告見たよ。」という方も多かったのではないでしょうか。
講師 柳井さんから、広告の成果や数的分析を、お話いただく授業からスタート。
広告を表示させるターゲットを詳しく設定し、SNSでどれだけ見られたかを分析、反省点や改善点を考えます。
同じ担当企業でも、ターゲットの設定(地域/年齢/興味など)が違っていることで、リーチ数や、その中からECサイトに呼び込めた数に大きく差があり、興味深い結果となりました。
ECサイトの作り込みや、商品購入までのプロセスに課題が残る一方で、「“クリエイティブ”は人の心の中に残り、忘れられないというところを目指すべきであって、そういった意味では、物が売れる、売れないだけでクリエイティブの良し悪しは判断できない」と柳井さんよりお話いただきました。
映像制作と同時進行で行われたこれらの課題、大変だったと思いますが、このようなマーケティングの知識も今後クリエイティブなお仕事をしていく中で知っておいて損はありませんよね。
さらに深く学んでみたくなった方も多かったのではないでしょうか。
人のふり見て
わがふりなおせ
そして、いよいよ塾生のみなさんによる映像作品の鑑賞です。
今回はなんと「得点」つきで清水さんより評価コメントと改善ポイントをいただいています。
今回ご協力いただいたクライアント様からもメッセージも。
塾生からの制作の感想も合わせてご覧ください。
(発表順)
● Hチーム:サニープレイス レモンスカッシュ
商品名を「DEATH LEMON」としてオリジナルグッズを制作したりと、制作過程から一丸となって楽しんでいたHチーム。清水さんをも虜にする中毒性ある作品が完成しました。
【 清水さんより】
「92点!」(高得点!)
何度も見たくなる映像になっています。ひとりではなく複数人で楽しんで行うのは映像制作の醍醐味。Hチームが楽しんで作っていたことが映像から伝わってきました。
〈ポイント〉
技術面では音質が低く素人っぽい仕上がりに。カメラマイクでは無い音声の撮り方をもう少し工夫しましょう。(スマホを傍に置くだけでも十分とれます)
後半の印象が薄く、エンディングがそのまま終わるので、商品の購入に繋がるようなインパクトがもう一押しあっても良かったかも。
【クライアント様より】
お店のコンセプトが最大限に活かされた映像だと感じました。ぜひお店で映像を流したいです!ありがとうございました。
【Hチーム感想】
最初の企画発表の際、清水さんからのレビューで考え方がガラッと変わり、ゾンビを全面に推して振り切った映像にしました。
始めに完成した2分の映像を、さらに1分に短縮する編集は大変でした。
個々能力の高いメンバーのお陰で、素晴らしい作品が出来上がって嬉しいです。
Hチームおつかれさまでした!
● Gチーム:サニープレイス レモンスカッシュ
なんと、企画違いで3本の映像を完成させていたGチーム。クライアント様へそのうちの2本をご提案し、選んでもらったのだそう。素晴らしいですね。メイキング映像はまさに青春でした☆
【 清水さんより】
「65点!」
準備段階の思いと、最終的な完成形は当然違ってきます。しかし、ファーストインスピレーションと、今目の前にある編集とを頭の中で行ったり来たりすることはとても重要。「主観的」に自分の作りたいものを考え、その一方では常に「客観的」に現状を見ながら初めて見た人にも伝わるような構成になっているかを冷静に判断することができなければいけません。とても難しい事ではありますが・・・
〈ポイント〉
こちらも同じく音質の工夫が必要です。構成としては前回の方が伝わる映像で良かった。やや分かりにくくなってしまった印象。考えすぎた?
【クライアント様より】
どこで何が買えるのかわかりやすく、CMっぽい仕上がりになっています。インパクトがあって覚えやすい映像でした。ありがとうございました!
【Gチーム感想】
清水さんの言われたように、話し合いの中で、考えに考えすぎた結果、最初のインスピレーションももっと大切にすべきだったという反省点があります。意見がまとまらない時など、「折衷案」ではなく「良いものを」という考え方であるべきだったという自分なりの学びもありました。
チームで意見を交わしながら1つのものを作る経験ができ、楽しかったです。参加して良かった!
Gチーム、おつかれさまでした!
● Fチーム:うさぎ農園
すでにクライアント様にクオリティの高いHPやECサイトがあり、そこからどのような新しい提案ができるかが課題であったFチーム。うさぎ農園の畑を過去にさかのぼり、昔と現在とで変わらない土地の豊かさと、うさぎ農園のご夫婦、そこで作られる野菜を「愛」で表現した映像が完成しました。
【 清水さんより】
採点時「45点」→今みたら「52点!」
題材から感じたことをそのまま映像化するのでは単なる「読書感想文」。そうならないよう、伝えたい事を最大化し、形にできる構造になっているのかどうかを吟味することが重要です。このチームだけでなく全般に言えることです。
〈ポイント〉
企画の時点で伝えたかった”過去の振り返り”という見せ方はわかるのですが、「題材」に対して今回の「構成」がふさわしいのかどうか?はもう少し考えてもよかったのかも。描くべき対象をどのようにとらえるかはとても重要です。うさぎ農園の魅力を伝えるには今のうさぎ農園のご夫婦お二人のキャラクターや人柄にのみフォーカスしても良かったのではないでしょうか。
【クライアント様より】
主人の幼少期からの移り変わりの描写がしっかり描かれていたので感動しました。
ありがとうございました。
【Fチーム感想】
チーム内で映像制作の工程全てを行うことがとても勉強になりました。
黙々と作業をされている農家さんの姿を撮影する難しさを感じる部分もあった。メンバーみんなで役割を全うでき、満足です!
Fチームおつかれさまでした!
● Eチーム:うさぎ農園
企画映段階では、たくさんのアイデアを盛り込んで「全部入り」になっていることで内容が複雑になってしまっていたEチームでしたが、最終的な映像ではスッキリまとまった映像が完成。心温まる家族の団らんの中にうさぎ農園さんの野菜やドレッシングが美しく映っています。
【 清水さんより】
「58点」→「68点!」(当日10点増!)
構成は進化していて、前回よりずいぶん良くなったと思います。メールのようなスーパーの入れ方も上手です。そのぶん、気になる部分がでてきました。
〈ポイント〉
映像の構成が、うさぎ農園さん、熊本で暮らす妹、東京で暮らす姉という3人の視点で作られているのでやや複雑。そのため映像の中に出てくるメッセージ「大切なあなたに食べさせてあげたい」の「あなた」が誰の事を指しているのかわかりずらく気になってしまう。
さらに、全体的な音楽の雰囲気は良いが、これも誰の気持ちを表現した音楽なのかわからないので感情移入しづらい。軸となる視点や、誰の感情に寄り添った映像なのかをはっきりさせることで更に良くなると思います。3つの視点で描きたいのであれば、「あなた」の使い方はまだ考えたほうが良いです。
【クライアント様より】
商品を手に取ってくださったお客様の食卓の様子を覗いてみたいなという思いが以前からありましたので、今回そのような動画に仕上がっていて嬉しく思います。忙しい家族を思いうさぎ農園の商品を贈るというコンセプトも私たちの願いや思いの一つです。ありがとうございました。
【 Eチーム感想 】
チーム内の意見を集約してまとめる難しさや、盛り込みすぎたものを削ったりが大変だった。3人の視点で作りましたが、逆に複雑になってしまって伝わりにくくなった。アイデアが先行し、結局何が伝えたいのか、企画に立ち返る場面も多かったです。
Eチームおつかれさまでした!
● Dチーム:ココミュ kokochi-e
思いが強く、最後まで意見を戦わせたDチーム。最終的には自分たちの作りたいと思う映像を、ふた手に分かれてそれぞれ制作し、結果2本の作品が完成しました。
【 清水さんより】
1本目「60点!」
2本目「42点!」
例えば、今回のようにクライアント様がいらっしゃる場合の映像作りとしては、やはりレベルの高い作品を目指すべき。だとすると、「ストーリーもの」はかなり難しい題材です。とはいえ、失敗を繰り返さないとわからない事もたくさんあります。以下厳しいコメントですが、伸びしろがある証拠ですので、タフな精神で折れずに挑戦を続けて欲しいです。
-1本目作品-
〈1本目ポイント〉
構成はかなり良くできていてシンプルにまとまってはいるけれど、映像・演技・音楽がどれも少しずつ力不足です。自分たちの「位置」、「できること」を把握しながら映像化すべき。できることしかできないのです。
最高の機材を使わなくても映像は作れます。例えばスマホでも。しかし限界はあります。それを知ったうえで作る事と知らずに作るのでは違ってきます。映像の美しさや、演者に頼らなくても伝わり、力強いものするにはどうすればいいのかを考え設計したほうが良いです。
また、「愛しい日々に 愛しい心地を」のメッセージは、言いたいことが凡庸で誰から誰へ向けたものなのかが不明瞭。「なんとなくわかる」は一番NGです。映像に言葉を入れるからには、それによる「効果」を感じたり、気持ちがグッとくるものでないといけません。細かいですが、それで印象はかなり変わってきます。
【クライアント様より】
SNSからも反響があり、嬉しかったです。ダブルガーゼの軽さや柔らかさが映像から伝わってきて触れてみたと思っていただける映像になっていたと思います。日常の暮らしに溶け込んでいて素敵だと思いました。ありがとうございました。
-2本目作品-
〈2本目ポイント〉
難しい題材に挑戦したなという感想です。さらに長い。「長さ」にはそれに見合った「価値」が必要だが、それには届いていない印象です。
病気を告知された夫婦の感情や会話がリアルさに欠けていて感情移入が難しい。
【クライアント様より】
笑顔でPRするというよりはドラマをみているように見入る映像になっていました。この映像によって、大切な人を思ったり向き合ったりしてもらえるきっかけになり、kokochi-eに繋がってくれたらいいなと感じました。ありがとうございました。
【D1チーム感想】
個人的にはとても満足しています!
映像の経験が無く、興味があって入って必死についていった感じ。もういちどチャレンジしてみたいです。企画段階で、チームでとことん話すことの大切さを学びました。
役割分担を明確にしていなかったため、実際の撮影や意見をまとめるのが大変でした。
【D2チーム感想】
初めてやってみて、難しかったけど、いろいろと挑戦する事ができました。大変勉強になりました。
Dチームおつかれさまでした!
● Cチーム:ココミュ kokochi-e
女性のキラキラ感や、ギフトとしてのkokochi-eをアピールするための企画。前回のレビューから、この映像がネット広告やECサイトに載る場合、映像を最後まで見てもらうためにメッセージの入れ方やタイミングなど再編集をしていただき、今回素晴らしい映像が完成しました。
【清水さんより】
「68点!」
思い切って修正されていて、結果とても整理されてかなりわかりやすくなりました。見ていて気持ちのいい映像になっています。商品の良さや、Kokomyuのブランドの気分のようなものが素直に伝わります。
〈ポイント〉
しかし、言葉選びの推敲が足りていないため、最初のメッセージ「ふたりの思いをカタチにした」の「ふたり」が誰の事かわかりません。そのため全体的に伝わりはするが、気持ちに入ってこない。まだまだ客観性が足りないです。kokomyuの事を知らない人が初めてみてもわかるよう、本当にこの画でいいのか、このメッセージで良いのか、誰が見ても伝わるように作られているのかをもう少し考える事で、相当良いものになると思います。
【クライアント様より】
kokochi-eを着た女性に、笑顔になってほしいというブランドのおもいが、映像の中に溶け込んでいて、嬉しく思いました。
【Cチーム感想】
前回のレビューを受けて、かなりそぎ落として再編集しました。反省点もあり、もう一度挑戦したいです。
撮影や編集の技術よりも、映像制作に対する根底となる考え方をしっかり学べたので、ぜひ学んだ事を整理して、今後に役立てていきたいです。ありがとうございました。
Cチームおつかれさまでした!
● Bチーム:九州農業ドローン学校
企画違いの2パターンを制作していただきました。ドローンが畑の上を飛び回る姿が未来っぽくカッコ良い映像が完成しました。2本目は清水さんを「天才か?」と唸らせ新しいカテゴリでの高得点を叩き出しました。
-1本目作品-
-2本目作品-
【清水さんより】
1本目「50点!」
2本目「主旨が違えば90点!(笑)」
1本目はカッコイイんだけど、それが最後まで貫けていないのが残念で、中途半端な感じが残ります。2本目は、お寺という場所や、意味のわからないカットの異常な長さ、役者のリアクション、唐突なエンディング。全てにおいて「どうかしている」のにおもしろい(笑)
〈1本目ポイント〉
冒頭は、音楽も含めてカッコイイですが、途中から「?」が残る。ドローンの操縦する女性のファッションから農家の新しい日常をアピールしていると思われるが、メッセージと映像のミスマッチもあり、見る側が考えてやっとわかる感じです。登場の仕方などをもう少し考えたほうが良かったのかなと。
〈2本目ポイント〉
色々と相当おもしろいです。「見たことの無いものを見ている感じ」がします。ドローン学校のプロモーションとしてはどうなのかと思いますが、おもしろ映像としてみるとかなりいいです。
前衛的で「デヴィッド・リンチっぽい」とさえ感じます。マイナスポイントとして授業の主旨、目指す所とは違うのですが、プラスポイントの方が大きいので、この感じで貫いて欲しいですね~
【クライアント様より】
1本目の映像を見て、直球でカッコイイ!と思いました。映画のワンシーンのようで見入ってしましました。これからの新しい時代の到来を感じるし、若手農家さんへのドローン導入の後押しになる映像になっていました。ありがとうございました。
【Bチーム感想】
どこまで妥協せずに取り組めたか、もっと突き抜けてみても良かったのかなという思いもあります。初めてのメンバーで制作する大変さを感じましたが、真面目に考え抜くことよりもクリエイティブなモノづくりにおいては「遊び」の感覚をもっていかに楽しめるかも大切なのかなと感じました。
Bチームおつかれさまでした!
● Aチーム:九州農業ドローン学校
農家さんの、農業用ドローンのある日常と、そうでない日常とを対比する演出で、おもしろくもドローンのメリットがしっかりと伝わる映像が完成しました。
-1本目作品-
-2本目作品-
【清水さんより】
「2本合わせて74点!」高得点です。
〈ポイント〉
用途に合わせた2タイプを作ったことは良いです。どこでどうみられるかを意識して2本作ることは姿勢としてとても評価できます
この2本の間に答えがあったような気もします。。。良くなる余地がまだまだあります。
【クライアントさまより】
“農業は大変”というネガティブなイメージをコミカルに描いてくださっていておもしろかったですし、ドローン導入の作業効率というメリットもしっかり伝わってきました。
見ていてワクワクする映像でした。ありがとうございました。
【Aチーム感想】
前回のレビューを受けての再編集は、意見を集約するのも大変で、沼にはまった感じ。もう見たくなくなる程でした(笑)チームで作る事の難しさも体験できました(リーダー談)
未経験者でも、経験者であるリーダーが、みんなで編集しようと図ってくれ、編集にも携わることができ、初心者でもここまでできるんだなという勉強になりました。今後の映像の見方が変わると思います。
色々な方々の助けがあって完成し、いい点数をいただけて嬉しいです。
Aチームおつかれさまでした!
● 卒業生チーム:サニープレイス レモンスカッシュ
今回、塾全体の撮影スタッフとしても活躍してくれたクリエイター塾第1期の卒業生チーム。
気の合う受講生同士で「NPO法人 Go Up See」を設立し卒業後も定期的に合志市を舞台にさまざまな映像を制作されているお二人です。
「撮影の為チームの密着をしているうちに感化されました!」とレモンスカッシュの映像を撮ってくれました☆
【清水さんより】
「91点!」
“あきらかに変なもの”であることがわかりやすく、あえてのB級テイスト感、1回聞くと覚えてしまう能天気な音楽などがレモンスカッシュに合っていて、気軽に買いたくなる映像になっています。ゴクゴクという飲み音の効果音も効いていて美味しそうだし飲みたくなる。
卒業生らしく素晴らしい作品に仕上がっています。
【卒業生チーム感想】
みなさんが制作しているのを見て、触発されて作りました。
楽しく撮影できました。ありがとうございました。
最後に
”改めて尊い場所”
以上、塾生のみなさんおつかれさまでした!
きちんとCMのような作りになっているもの、見入るようなストーリー仕立てのもの、声を出して笑ってしまうものまで様々な作品が完成しました。
今期は、最初から最後まで完全チーム制。
映像や写真、デザインなどの経験がある方と、全くの初心者という方達で組まれたチームを、リーダーを中心にメンバーの意見をまとめたり、企画から打ち合わせを何度も重ねて撮影、編集のすべてをチーム内で行っていただきました。
お互いにスケジュールを調整し、それぞれに役割を全うし作りあげた作品たちです。
完成された作品をみて、満足された方、反省点を踏まえてリベンジしたい方とさまざまですが、最初から最後までご自身たちでやりきったという事が今後の活動に役立つ素晴らしい経験となったのではないしょうか。
9月からスタートした「合志市クリエイター塾2020」はこれで終了となりますが、今期はほとんどの授業がオンラインであった分、SNSなどで、塾と塾生のみなさんとの連絡も密に行われていましたし、さすがの50名を超える人数の力もあって、みなさん積極的に関係を築かれていたという印象です。
合志市、熊本市以外では、天草、福岡、鹿児島から参加いただいていた他、今年はオンラインのみの受講生もいらっしゃいました。
オンラインでも、チームに加わりワークショップに参加し意見を出したり、課題の映像制作にも携わっていただけて今年っぽく、今後の可能性が広がっていく感じがします。
「それぞれが違う場所にいて、それぞれの暮らしがあって。その中でも同じ方向を向いている感じが「尊い」場所だと感じます」と清水さん。(涙する塾生マサコ)
最後に、「延べ160名の卒業生を送り出した合志市クリエイター塾。ぜひ、この出会いをきっかけに今後も映像制作や、クリエイティブな活動を通して繋がり続けていただければ嬉しいです。」と合志市の境さんよりお話しいただきました。
みなさん、4カ月間おつかれさまでした。ありがとうございました!
また来年お会いしましょう~☆