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【講義レポート】Jan.10.2020 UP

2019年の、合志市クリエイター塾を終えて

ROBOTの清水さんより、2019年のまとめのメッセージをいただきました。
 
 

<2019年の、合志市クリエイター塾を終えて>
 

映像というものは、とても自由なものであると思います。
語学のように決まった文法はないし、数学のような方程式もありません。
意味性を感じない映像でも見ていてなんだか心地よいものもあるし、
一見、関係のないものを並べることで そこに関係性や物語を感じさせるような手法など(モンタージュ)などもあります。大倉さんの作ってくれた映像なんか、まさにそんな感じでしたよね。
 

ですが一方で、人に何かのメッセージを伝えたいときや
共感してもらいたい時(特に1分~5分とかの短い時間で)などは、
ほぼ「作文」などと一緒で、誰の視点で語るのか、どんな順番で語るのか、どこに句読点を打つのか、どこで段落を変えるのか、
など、わかりやすい文章を書いたり
わかりやすく話したり、相手がピンとくる言葉を探したりという
ごく「あたりまえ」のことの積み重ねも、とても大切になってきます。
 

今回、みなさんが作ってくれた映像も、
言いたいこと伝えたいことは「だいたい」わかりました。
理詰めで「言いたいことを全部言う」のならば文章にした方が良いので、
抽象的だったり、ちょっとフワッとした感じがあったりすることは
映像ならではの表現でもあるので、それはそれで悪くないと思います。
 

ですが、やはり現状みなさんにちょっと足りないのは、
上に書いたような「あたりまえのこと」だと思います。
まずは伝えたいことを伝えるための骨組みや構成(=企画)を
アタマが熱くなるくらいにできるかぎりしっかりと考えてみることが重要です。(さらに自分の場合は必ず複数案作ってみて、その中で取捨選択します)
 

そして、作った映像を「伝えたいと思う他人の目線」で何度も見返してみて(僕の場合「薄眼」とか「半目」で、繰り返し3回くらい見たりしています)
その映像によって自分が伝えたいことや、感じてもらいたいことが、
初めて見た人にも確実に伝わるように、細かいところも含めて出来るかぎり吟味してください。
 

それは、スーパーの文字の選び方だったり、
スーパーの出し方のアクションだったり、
その微妙な長さ(たった10F=1/3秒でも印象は変わります)だったり、
光の選び方だったり、カットの前後の「間」だったり、効果音だったり
の順列組み合わせになるので、もう無数にあります。
 

これは、同じ内容のことを喋っても
喋る人によってその「感じ方」が全く変わるのと
同じことだと思います。
 

伝えたいことの軸をしっかりと意識しながら、
話の内容や構成をブレないように固めつつ、
それを、自分なりの「喋り方」「伝え方」によって映像で伝達する技術を身につけることが、映像の「クリエイター」になる
ということかもしれません。
 

そして、どんなに口下手な方でも、映像であれば
(上に書いたような吟味を重ねることで)
自分の語り口で何かを伝えることができるはずです。
 

授業の最後にも伝えましたが、
合志市クリエイター塾の「主役」は、塾生である皆さんであり、
ここでの体験と、人のつながりを生かして
これからも映像作りを楽しみ
さまざまな試行錯誤を繰り返していくことで、
きっと「伝わるもの」が形になっていくと思っています。
 

2019年、合志市クリエイター塾 お疲れさまでした。
清水 亮司 (クリスマスイブの夜に書きました。関係ないけど)