2020.11.14 中間成果発表
こんにちは、11月の授業です。
前回の授業でプレゼンしていただいた「企画」「演出」案を元に、みなさんには短期間で撮影と編集を行っていただきました。
忙しい中、撮影場所や出演者のスケジュールなど、調整しながら大変だったかと思います。
本日発表していただいた映像は、もちろんみなさんの現段階でのベストを尽くしてもらって完成した作品ですが、世に出すまでには、まだ修正の余地ありという事で、今回のレポートは、塾長 清水さんのレビューを中心にご報告したいと思います。
ではさっそく。
《Aチーム》
担当企業:九州農業ドローン学校
Aチームは、若い農家さんをターゲットにして、農業用ドローンがスタンダードになるように、農薬散布ドローンのある農家さんと、無い農家さんの生活の違いを、画面を2分割にし対比させながら見せるという演出でした。
しかし編集を進めるにつれ、「こんなはずじゃなかった」という思いに。。。
良いと思っていた2分割映像は情報量が多く見づらく、日常部分のカットが多すぎて何の映像なのか分かりづらい。
これらを自分たちなりに修正。
カメラはiPhone、ロケは2カ所、出演者、ナレーションもチームメンバーのみでミニマムに行いました。
唯一絞り切れなかったはBGM。
違うBGMの2パターンを提出することになりました。
《レビュー》
出演女優さん、素晴らしいです!(会場拍手!!!)
たいていの映像は見てられないのですが、演技が飽きずに見られるし画面分割によって「伝えたい」ことが「伝わる」映像になっています。
しかし、「長い」。
長くなってしまうのは何かしらの問題(シナリオ、構成、演出など)があるはずなのでもう少し短い時間で伝わるよう、考えてみてください。
《Bチーム》
担当企業:九州農業ドローン学校
目指すコンセプトとしては「農業用ドローンにチャレンジする事で生まれる新しい日常」。
そこからどう映像にするかを悩みましたが2案企画に落とし込みました。
1案目は「主婦の挑戦が農家の日常を変える」
どこにでもいる農家さんがチャレンジする姿を表現し、これまでのやり方から抜け出せなかった人たち(農家さん)に、変化を促す映像にしたい!
そんな映像にするべく、農家の主婦にフォーカスし、ドローンを操縦するかっこいいお母さんを映像化することで子供たちからも憧れを持たれるような映像を目指しました。
2案目は「新しい日常の姿を表現」
映像を通じて若い年代が飽きずに見てもらえるようにリズム良く、アップテンポな曲を使用し、カット数を多くしてテンポ良く進めることを意識しました。
「近未来感」「大幅な作業時間の時短」「こんな仕事やってみたい!」という印象や可能性を持ってもらえるように制作しました。
《レビュー》
役者の演技のクサさをつかみにするならばもう少し徹底的に振り切ったほうが良いです。
音楽のチョイスがどんな印象を与えたいのかが、やや不明。
2案目は冒頭はカッコいいんですが、最後までキープできていないのが残念。
途中、緊張感が切れているのでカッコよく最後までやりきった方が良かった。
どちらの映像にしても最後まで振り切る事が大切。
《Cチーム》
担当企業:ココミュ/kokochi-e
「kokochi-e」の事を大好きになってもらい、知名度を上げ、ココミュさんの思いが伝わる映像を目指しました。
価格のハードルを越えて「kokochi-eをプレゼントしたい!」と思ってもらう映像です。
コンセプトは2つ。
「優しさのそばにはkokochi-eがある」
「おしゃれに着られる女性のキラキラ」
10月に編集サポートの授業がありましたので講師の方からアドバイスをいただき、順番を入れ換えるなどして、構成を変更し完成させました。
《レビュー》
映像はとても綺麗で「雰囲気」は良い。
でも、「kokochi-e」の製品の特性や、込められているメッセージが描けていません。
「雰囲気」だけでも見せられる映像というのはあるにはあるが、それには「圧倒的な雰囲気」が必要で、それには達していないのでほとんどの人が途中で見るのをやめちゃうかも。
見続けさせるには、例えばメッセージを前半にも出してみると、それに興味がある人なら見続けるだろうし、何の映像なのか心構えを持って見られると思います。
もっと本質的な価値が伝わる方法を考えるべきだったし、やや「企画」に課題があったかもしれません。
今の映像を使って、「機能」を感じられるメッセージを見せる事でまだ良くなると思います。
編集でもう少し工夫をしてみてください。
《Dチーム》
担当企業:ココミュ/kokochi-e
「kokochi-eを好きになってもらい、女性のあらゆるライフステージで活躍する」ことをコンセプトに、「身近にいる大事な人」を主軸にストーリー展開する映像にしたいと考えました。
病気、病院の設定に「湿っぽくなるのではないか」という清水さんからのレビューに対しては、色彩やBGMなどでカバー。
それでもチーム内では ”男女間の感性のズレ” から議論が続きましたが、せっかくのクリエイター塾、「2案とも作ってしまおう」と落ち着き、今回2本制作しました。
「回想シーンの時間経過の表現」について絶賛悩み中。
《レビュー》
喧々諤々、最後まで意見を戦わせてくれたDチーム。
それだけでもチームとして大いに価値があったと思います。
2案とも良い部分があって、良いとこ取りでちょうどその「中間」のものができれば良かったのでは?
商品の特徴を伝える映像であれば、シリアスなシーンをそのまま描く必要があるのか、やや「企画」「構成」の難易度が高すぎた印象です。
”負け戦” にならないためにも「勝てる方法」、「今、自分にできる一番良い方法」をもっと考えてみましょう。
時間の経過を表現するには色々な方法がありますが、「kokochi-eのある暮らし」のようなスーパーを入れることで、「〇年前」のように説明的にはならずに叙情的に伝えることができます。
《Eチーム》
担当企業:うさぎ農園
うさぎ農園さんから野菜が届いた家族な幸せな風景、子供が野菜を美味しく食べるなどのシーンで家族の団らんを表現。
清水さんからのレビューを受けて、てんこ盛りすぎた演出は大幅にカットし、「大切な人への愛情」をシンプルに描くことにしました。
Eチームの映像には「東京の雑踏のシーンと音声」を入れているのですが、それらの素材はオンラインで受講されている塾生お二人にご協力いただいています。
《レビュー》
音楽や、伝わってくる雰囲気もとても良いです。
しかし現在のうさぎ農園さんのWEBサイトに載せられるレベルのクオリティに達していません。
自分たちができる事の中で、うさぎ農園さんの「価値」になるのかどうか根本的に考えた方が良い。
この映像の中で軸になるべきカットが1度見ただけで全く気付かないし伝わらない。
前半の布石が機能していないので軸になっていない。
良い画が撮れたら使う事のは大切だけど、それが伝えたい事に本当に機能している画、長さなのかどうかは冷静に判断したほうが良いです。
みなさんに言える事ですが、要素を「全部入り」にすると「印象に残らない」という事も覚えておきましょう。
客観的に見ることが非常に重要です。
《Fチーム》
担当企業:うさぎ農園
自然豊かな場所で、ドレッシングなどの加工品も安心安全に作られていることを知ってもらいたい。
オーナーご夫婦の思いや土地の良さ、原風景が残っている様子を取り入れた映像で、熊本以外の方へ知っていただきECサイトでのお取り寄せにも繋げられたらと思っています。
野菜たちを「愛」として表現しました。
《レビュー》
うさぎ農園さんのお二人に対する「愛」は感じられました。
インタビュー動画としては良くできていますが、回想との構成がやや複雑になっていて伝わりづらくなっている気がします。
「愛を食べよう」のメッセージが、画の見せ方で「愛」が何なのかよく分からなくなってしまっている。
愛=野菜、製品である事がきちんとわかるように文字の見せ方を工夫したほうが良いです。
《Gチーム》
担当企業:サニープレイス
サニープレイスさんのレスカ認知の向上と、サニープレイスさん店舗まで足を運んでもらうための動画。
「手に取ってもらう事」「身近に感じてもらう事」「おもしろく思い出してもらう事」をコンセプトに企画違いの3作品を作りました。
《レビュー》
相当良いです。
3本作ったことが何より素晴らしい。幅広く考えられた事が最も評価できると思います。
みなさんが楽しそうに演じているのが良いです。
シーンの間にインサートを入れるなどの編集も上手い。
3本とも個性があって面白かったです。
「おもしろい」はそれだけでかなりの「価値」があること。「おもしろい」は色んなことを超越します。
それを更に高めるならば、商品のカットを増やすなどしてしっかり印象づける工夫をしても良いと思います。
《Hチーム》
担当企業:サニープレイス
企画の段階では2案ありましたが映像は1案に絞り制作しました。
幅広く飲んでもらう事よりも、10~20代をターゲットに絞り知名度、集客UPを目指した映像です。
さらに印象をづけるため、飲料の名称を「DEATH LEMON」とし、パッケージも仮に制作して映像にしました。
映像を最後まで見てもらえるよう、先が気になるような構成を意識しています。SNSの拡散を狙い、「# ハッシュタグ」を散りばめてみました。
制作途中でもチーム内のモチベーションを保つため、オリジナルグッズを作ったりして楽しむことを心がけました。
《レビュー》
新幹線の中で観て、声を出して笑ってしまいました。
作り手が「おもしろい」と信じて、楽しんで作っている事が伝わります。
どんな映像制作にも言えることですが、企画段階で「やり切った」と思うまで考え抜く事が大切。
絶対に「おもしろくなる事」を信じて現場でみんなが同じ方向を向いて臨めていたのだと思います。
演者のキャラクターが弱くならないためにも、ここからあまり修正はいらないかも。
それくらい良かったです。
はい、というわけで「厳しめ」との前置きがあり、時折、清水さんのコメント後に柳井さんのフォローが入りながら進みましたが、厳しさの中にもたくさんの愛が詰まったアドバイスで、今回も的確なレビューをいただきました。
塾生のみなさん、レビューを踏まえて完成までもうひと頑張り!
発表お疲れ様でした!!
著作権の話。
後半は「クリエイターなら知っておくべき著作権」のお話。
講師は、ROBOT法務担当:中上川 康二さんです。
中上川さんには毎年この時期にご登壇いただいていて、難しくてスルーしがちな法律のお話を、みなさんが知ってる映画やCMの話に例えていつも分かりやすく教えていただきます。
「著作権」の定義とは?
意図的ではないけれど、うっかり映り込んでしまった看板、大丈夫?
合法だけど炎上?
回避するには??
今後みなさんが映像作品に携わる中で、他人の権利を侵害してしまわないために、最低限知っておくべき事までギュッと1時間。
質問にも答えていただきながら教えていただきました。
今後、映画やドラマの作品を見るときにもその辺りの事も少しだけ意識してみることができるのではないでしょうか。
中上川さん今年もありがとうございました!
本日のまとめ。
最後は、塾長 清水さんより今日のまとめです。
今回は意外にも「お笑い芸人さん」に例えて。
北野武監督をはじめ、最近では芸人さんが映像を作ったり小説、絵を書いたりという幅広い活躍が珍しい事ではなくなりましたよね。
芸人さんたちは理屈じゃなく、瞬間的に「つかむ」事で人を笑わせることを日常的に訓練、体験している人たち。
自分たちを客観的に見る能力や、見る側の立場に立って考え作ることができ、それが作品に表れているので芸人さんの作る映像作品はだいたい面白いです。
クリエイターとして映像を作る人も同じように、見る側の立場に立ったサービス精神や勘、それを鍛える訓練が重要だと言えます。
「どこから見られてもおもしろい」には常にもう一人の自分が自分たちの事を客観的に見る事を忘れてはいけないという訳ですね。
また、制作過程でたくさんの議論を重ねた事、頭の中で考えた事は、そのまま「映像なっている」と錯覚してしまう。
しかし、いくら頭の中で考えた事でも、それが映像になっているかどうかは冷戦に判断しなければいけません。
初めて見た人にもしっかりと伝わる映像になっているのか、やはり客観的に考える必要があるんですね。
「練習」と「試合」は
違う。
「企画」「演出」の授業から始まって、みなさんは座学やワークショップとたくさんの時間を使って考え、議論を重ねてきました。
それは言わば「試合」に向けた「練習」であり、試合で全力を出すための準備。
最終的に映像にするための準備がどれだけできているかで「試合」が決まります。みなさんは今日という「試合」を一度体験したことで、次に活きてくるのだと思います。
なので、
「左手はそえるだけ」
なんです。
そして!今年は大々的な懇親会が難しい状況の中ではありますが、ほんの少しだけ小さな「お疲れ様会」が行われました。お弁当、ジュース、スイーツでお楽しみ会のような雰囲気☆
9月にスタートした今期のクリエイター塾も、ラスト1回!
早いですね・・・
今期は最初から最後まで、すべてをチーム制で走り、
時にはチーム内でモメちゃうくらい一生懸命取り組んでいただきました。
本日、清水さんからいただいたレビューを元に、修正を加えるチームもあるかと思いますので、来月、最終授業のレポートでは完成した作品をコチラでも公開させていただきます。
チームのECサイト公開もあわせてラストスパート頑張ってください!!
ではまた☆