活動報告

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伝わる演出とは : 授業レポート

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Dec.29.2016 UPshare

演出家・清水亮司氏に学ぶ「伝える技」

演出家・清水亮司氏に学ぶ「伝える技」

今回の講師は『ロボット』の演出家として、CMをはじめ、多くの映像制作を手がける清水亮司さん。セブン-イレブンやキリン淡麗、Panasonicなどの企業CMのほか、2015年のミラノ万博で金賞を受賞した日本館の展示にも参加しています。
 
 
 

誰もが持つ、演出の素(もと)。経験や記憶のなかにこそ、ヒントがある。

国内外のクリエイティブの第一線にいる人が、すぐ目の前でレクチャーしてくれる。またとない機会にワクワクすると同時に、ついていけるだろうかという不安もちらりと脳裏をよぎります。
 
ところが冒頭で語られたのは、初めて自分のお小遣いで買ったレコードや大好きな映画のことなど、どれも年相応の経験でした。
 
「学校や家族、社会のなかで積み重ねてきた経験こそが、自分の核となり、演出のベースとなる。だから、ひとつの企画を複数の人が演出すれば、人数分の映像ができる」。
 
資格や数字では語れないことの多いクリエイティブの現場において、ひそかに焦りを感じることも多かった私はその言葉にハッとし、目の前が明るくなった気がします。
 
 
 
演出家に学ぶ『伝える技術』
 
 
 

演出とは、伝えるための技である。

「演出とは、伝えるための技である」というのが、清水さんの持論。
そういえば近年は、ウエディングや家族・友人の記念日などでも“サプライズ演出”が定着。さらに、デジカメやSNSの浸透で“見映え”を意識することが日常化しています。考えてみればすべては、「伝えたい」「つながりたい」という欲求が根本。シチュエーションによって伝える内容は違いますが、“演出”はプロアマ問わず、コミュニケーションや日常を豊かにするための武器であり、配慮でもあるのだと腑に落ちました。
 
 
 
人を、演出する。風景を、演出する。モノを、演出する。
 

1. 人を、演出する。

その人それぞれの資質を見極め、どう魅せるかを考えながら、覚悟や熱意を持って臨むことが大切。
演者のタイプやスキルに応じた現場の雰囲気づくりも、演出家の仕事である。
(一般人の親子を起用したパナソニックCMや、小栗旬さんの日常を垣間見ているような味の素CMを例題に)
 

 
 

2. 風景を、演出する。

そこにあるものをどう切り取り、どう魅せるのか。
風景に人を入れる場合は人を魅せるのか、風景を魅せるのかを考える。未完成の風景に人を入れて完成させる、という考え方もときには必要。
(カナダで急遽撮影場所を変更した、KIRINグリーンラベルCMや、踏切事故0運動映像を例題に)
 

 

 
 

3. モノを、演出する。

食べ物や電化製品、車など、モノの演出にはあらゆる視点と手法がある。地域のことや手仕事の様子など、ブランドの全体的な世界観を伝えるために、2画面で構成することも。
(FOOTSTOCK ORIGINALSなどの映像を例題に)
 
 

4. 距離感を、演出する。

人との距離感、モノとの距離感。主観的⇄客観的。寄り添う⇄傍観するなど。撮影時のレンズの長さでも映像の伝わり方は変わる。どんなメッセージを伝えたいかによって、距離感を演出。
 
 

5. 会議を、演出する。スタッフを、演出する。

「ディレクター=決める人」。すべてを自分でやることがいいわけではない。人にお願いするのも仕事のうち。あるいは「決めない、ということを決める」ということも、場合によってはある。
 
 
 
映像には人の心を動かす力がある
 
 
 

映像には人の心を動かす力がある。意志や想いのある「演出」で何かが動く!

「作る人は必ずなんらかの「意志」や「想い」を持ってその対象を撮影し、素材を編集し、音をつけて映像化する。そして、その映像に込められた「意志」や「想い」を人に伝え、人の心を「動かす」ことを目的として「創作」している」。
 
第1部の最後に語られたのは、清水さんの映像演出に対する姿勢でした。技術や機材・ソフトなど小手先のものにとらわれるよりも、まず先に、「何かを伝えよう」「動かそう」とする着眼点と、強い意志を持つことこそ大切!
これは映像だけでなく、文章や企画を考える人、表現に関わる人、そのほかすべての現代人に共通するメッセージのようにも思えます。
 
 

変わりばえのない毎日にこそ取り入れたい、「演出」視点。

伝えたいことはなんなのか。
大切にしたい想いものとはなんなのか。
誰を、何を、どのように動かしたいのか。
 
私は受講後、ふとしたときにそんなことを考えるようになりました。制作物や取材先でのヒアリング内容、そして家族との関わりについても、これまでと少し違った角度での掘り下げ方や関わりが出来始めている気がします。経験や意志に基づく「演出」手法を味方につけ、仕事や日常を今までよりももっと、深く濃く楽しみたいと思います。
 

Dec 29.2016 UPshare

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